アガスティアの葉
“श्री अगस्त्य ऋषिर्ब्रूते सत्यं सत्यं वदाम्यहम्।
तेजस्विनां हितार्थाय वचो मे न संशयः॥”
聖仙アガスティアはこう語る——私は真実のみを語る。
賢者たちの幸福と利益のために、私の言葉には一切の疑いがない。
“गर्भे स्थितं तव शरीरं मातुर्गर्भे प्रपूजितम्।
कुलं गोत्रं च जातस्य सर्वं वक्ष्यामि निश्चलम्॥”
あなたの身体が母の胎内にある時から、すでに神々により加護されていた。
あなたの生まれた家系、氏族について、私は正確に語ろう。
“अतीते जन्मनि तव कृते पित्रदोषः दृश्यते।
गयायात्रा पूजया सह पिंडदानं आवश्यकं।
तदा तव वंशे सौख्यम् आगमिष्यति।”
前世で犯した罪や現世における不運は、
正しい手順で供養や儀式を行うことで浄化することができる。
アガスティアの葉とは?
「アガスティアの葉」は、古代インドの聖者 アガスティア聖人 が、神の啓示を受けて書き記したとされる何千枚ものパームリーフ(椰子の葉)に由来します。
この葉には、未来のある人物の名前、生年月日、家族構成、職業、結婚、病気、死期などが、詳細に記されているとされています。
アガスティア聖者とは?
アガスティアはヴェーダ時代の偉大な聖者の一人で、シャイヴァ(シヴァ神信仰)や南インドの文化に大きな影響を与えました。彼は超人的な叡智を持ち、未来を透視する能力があったとされ、彼の予言は「ナディ占星術」の源流といわれています。
アガスティアの葉の歴史と起源
「アガスティアの葉とは、古代インドにおける驚くべき予言体系のひとつであり、数千年前に存在したとされる聖者アガスティアをはじめとするリシ(Rishi:聖仙)たちが、深い瞑想と神の啓示によって得た人類の過去・現在・未来に関する情報を、文字として記録したものです。この文書は現代に至るまで「ナディ文書」と呼ばれ、特に南インドの一部地域において、神聖な遺産として保管されています。
アガスティアの葉の起源:神の啓示を受けたリシたちの霊視による記録
アガスティアの葉の起源は、およそ3000年以上前に遡るとされます。時代としてはヴェーダ時代からタミル古典時代にかけてとされており、当時のリシ(聖者)たちは、高度な霊的修行によって特別な透視能力を得ていました。この能力によって、リシたちは個々の魂の運命や前世・来世を見通し、それらを未来の人々の指針とすべく、記録に残したと伝えられています。
これらの文書は、特定の個人だけでなく、人類の様々なタイプの人生のパターンを包括するように分類され、後の時代の人々が「自分の葉(自分の運命が書かれた葉)」を見つける手がかりとなるよう構成されています。
記録媒体:パームリーフという自然の文書
この神聖な記録は、当時広く使われていた「パームリーフ(椰子の葉)」に書かれました。乾燥させたパームリーフに鉄筆で文字を刻み、刻まれた文字の視認性を高めるために、ターメリック(ウコン)や植物油が擦り込まれました。この方法は何世紀にもわたり文書を保存する手法として用いられ、南インドの温暖湿潤な気候でも驚くほど長期にわたって保存が可能となっています。
これらの葉は自然素材であるため、定期的なメンテナンスや修復が必要であり、現代においてもナディ・センターの関係者によって丁寧に管理されています。
記録された言語:古代タミル語とサンスクリット語
アガスティアの葉に記されている言語は主に古代タミル語(古タミル)で、場合によってはサンスクリット語やその混合形が使用されています。これらの古典語は、現代人には容易に理解できないため、ナディ・リーダー(読み手)はタミル語の専門知識を有し、依頼者の言語(英語やヒンディー語、時には日本語)に通訳する役割を担っています。
言語的にも非常に高度で、霊的な詩的表現や象徴的な語句が多く見られるため、単なる情報伝達というよりも、哲学的・神秘的な意味合いも強く感じられる内容となっています。
保管場所:南インド・タミル・ナードゥ州の聖地
現在、アガスティアの葉は主に南インド・タミル・ナードゥ州のいくつかの都市に存在するナディ・センターに保管されています。中でも特に有名な場所は以下の通りです:
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ヴェイドゥー(Vaitheeswaran Koil):アガスティアの葉の聖地とされ、最も古くからナディ文書が読み継がれている地。
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クンバコーナム(Kumbakonam):多くの聖者と寺院のある宗教都市で、複数のナディ・センターが存在。
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チェンナイ(Chennai):都市部でアクセスしやすく、外国人にも対応するナディ・センターが増えている。
アガスティアの葉は、単なる「未来を知る手段」にとどまらず、自分の魂の歴史を知り、今後どう生きるべきかを導くための、霊的な地図とも言える存在です。その長い歴史と神秘的な起源は、現代の人々にとっても深い感動と内省の機会を与えてくれます。
この古代からの叡智は、時代を超えてなお、多くの人々にとって「運命に光を与える神聖な声」として語り継がれています。